ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン1 感想
天鏡のアルデラミン―ねじ巻き精霊戦記 (電撃文庫 う 4-4)
- 作者: 宇野朴人,さんば挿
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2012/06/08
- メディア: 文庫
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あらすじ
隣接するキオカ共和国と戦争状態にある大国、カトヴァーナ帝国。その一角に、とある事情で嫌々、高等士官試験を受験しようとしている、一人の少年がいた。彼の名はイクタ。
戦争嫌いで怠け者で女好き。そんなイクタが、のちに名将とまで呼ばれる軍人になろうとは、誰も予想していなかった……。
戦乱渦巻く世界を、卓越した才で生き抜くイクタ。その波瀾万丈の半生を描く、壮大なファンタジー戦記、いよいよ開幕!
引用
「だから僕に付いてこい!イクタ・ソロークの部隊はいつだって楽に戦って楽に勝つ!常怠常勝、怠惰上等!僕に付いてきた奴には、ひとり残らず楽にさせてやるっ!」」
感想
これは立派な煽動者の口ぶり。ノリ気じゃないのに、これが口に出るとか才能としか言えませんよね。イクタ君……恐ろしい子。
さて、宇野朴人さんの前作、『神と奴隷の誕生構文』は積読になってしまっていて読んでない(2013年5月現在)のですが、この作品は恐ろしいくらいに面白い。既刊3巻を徹夜して全部読み続けてしまったくらいにのめり込んでしまいました、久々です。
内容としては最近盛り上がってきた?軍師物(戦記物)なのですが、精霊と呼ばれる存在が『覇剣の皇姫アルティーナ』とは異なるややファンタジー色の強いモノに仕上げています。しかし、知略の面では負けず劣らず、むしろ精霊という要素や『科学』という考え方が派手な印象を与えられました。アルティーナのレジスを読んだ本の知識を組み合わせて策を閃く文系の軍師だとすれば、主人公イクタ科学的に物事を見て、策を閃く理系の軍師と言えばいいのでしょうか?少ししっくり来ませんが、当たらずとも遠からず?
この1巻は主人公たち『騎士団』の面々の紹介とその各々の悩みを伏線として読者へ匂わし、イクタと姫シャミーユの出会いと彼女の思惑の提示し、そしてイクタとヤトリの強い絆を理解させるものであったでしょう。
しかし、剣となったヤトリへのイクタの軽口は今作一番の名言と言っても過言ではないと思います。二人の強固な絆の象徴とも言えます。ここに至るまでの過程はほんとに彼らの絆を顕著に示していますよね。
そして、昨今には珍しいラブコメ要素が薄い作品なのですが、姫様はヒロイン足りえるのかな……。ヤトリをヒロインと言うにはこの二人の絆はもっと根源的に繋がったものであるように思えますし。ふむ、これからですかね。