あしあと

すきを見て更新再開したいなとは思う

氷の国のアマリリス

氷の国のアマリリス (電撃文庫)

氷の国のアマリリス (電撃文庫)

 あらすじ

エネルギー暴走の果て、世界は氷河期を迎え、人類がコールドスリープしてから100年。それらを管理するロボット達にも限界が来ていて......!

引用

「なんというか……『半分こ』なのよ」


 「雨の日のアイリス」「雪の翼のフリージア」とわりと評判の松山剛さんの新作!
 前回のフリージアは絶望から希望に至る物語でしたが、今回は希望と絶望がころころと反転していく物語で、切り替わる度にわたわたとしてしまって著者の思う壺だなぁと読み終えて思いました。どちらかと言えば、アイリスに近い雰囲気のある作品かなと思います。

 

 ネタバレになりそうな感想は下に収納しておきます。

 

 そして、ロボットものでゆるやかな滅亡を描くことは、”永遠”へのアンチテーゼのように感じられて、村長による人類滅亡案には薄ら寒いものを覚えて背筋がぞっとしました。
 故にアマリリスの洞窟から共存案への下りでは、はらはらしたり、ホッとしたりと忙しく、数日経った今でも鮮明に感情の過程が思い起こせるくらいには印象的な対比構造でした。そのわざとらしいくらいの絶望と希望のギャップには、素晴らしく感動させられました。

 

※追記
 もし、あの場で人類滅亡案が採択されていた場合、数十年後に探しにきた生き残りたちによって反逆罪で全村民は破棄されていたのだろうなぁと思います。うー怖っ。